今日は、その白い背中に爪をたてる
差し入れに対する礼も言わない私の顔を彼女は覗き込んで、苦笑した。
またやっちゃったの、アキラって。
「も〜あんたらしくないわね、さっさと言えばいいのに。」
「……うるせえな、余計なお世話なんだよ。」
「機嫌悪っ!!
あんたはレンズ越しにしか素直に物事を捉えられないわけ?」
少し大袈裟に彼女が仰け反る。
そう、私はレンズ越しにしか物事を捉えられない女。
私、堂林アキラはカメラマンだ。
名前が男っぽいせいか見た目と性格も女として残念に育った30歳独身。
色素の薄い髪と瞳に平均身長、平凡顔の至って普通の女。
性格はこんなんだし見た目は普通だし何の取り柄もないけれど、カメラだけが私の武器となった。
嫁の貰い手は皆無だが、仕事はありがたいことに引く手数多である。
今日はOG化粧品『Marria』の撮影で私はここにいる。
ちなみに隣に座る美人は『Marria』担当の営業宇野皐月、悪友のようなものだ。
「…どうしたら、晴斗との関係を絶てるのかな。」
晴斗、と私が名前を口にすると皐月の表情が曇る。
私と晴斗の関係を知る彼女は弱音を吐く私に必ずその顔をみせる。
「…やっぱり、やっちゃったの。」
「そう、ヤッちゃったの。」
「ちょ、あんたが言うと字が変わる!!
卑猥だ、やめてよ!!」
失礼な、ちゃんとカタカナの方の意味で言ったっつーの。
正しい表記はカタカナなんだから。
ーピリリリリリ
と、私のジーンズの後ろポケットにいれていた携帯が鳴った。
可愛げない着信音だね、とケチをつける友人の椅子を軽く蹴って画面を見る。
表示された名前に、喉の奥がきゅっと痛んだ。
「…………なんでよ。」
またやっちゃったの、アキラって。
「も〜あんたらしくないわね、さっさと言えばいいのに。」
「……うるせえな、余計なお世話なんだよ。」
「機嫌悪っ!!
あんたはレンズ越しにしか素直に物事を捉えられないわけ?」
少し大袈裟に彼女が仰け反る。
そう、私はレンズ越しにしか物事を捉えられない女。
私、堂林アキラはカメラマンだ。
名前が男っぽいせいか見た目と性格も女として残念に育った30歳独身。
色素の薄い髪と瞳に平均身長、平凡顔の至って普通の女。
性格はこんなんだし見た目は普通だし何の取り柄もないけれど、カメラだけが私の武器となった。
嫁の貰い手は皆無だが、仕事はありがたいことに引く手数多である。
今日はOG化粧品『Marria』の撮影で私はここにいる。
ちなみに隣に座る美人は『Marria』担当の営業宇野皐月、悪友のようなものだ。
「…どうしたら、晴斗との関係を絶てるのかな。」
晴斗、と私が名前を口にすると皐月の表情が曇る。
私と晴斗の関係を知る彼女は弱音を吐く私に必ずその顔をみせる。
「…やっぱり、やっちゃったの。」
「そう、ヤッちゃったの。」
「ちょ、あんたが言うと字が変わる!!
卑猥だ、やめてよ!!」
失礼な、ちゃんとカタカナの方の意味で言ったっつーの。
正しい表記はカタカナなんだから。
ーピリリリリリ
と、私のジーンズの後ろポケットにいれていた携帯が鳴った。
可愛げない着信音だね、とケチをつける友人の椅子を軽く蹴って画面を見る。
表示された名前に、喉の奥がきゅっと痛んだ。
「…………なんでよ。」