俺様常務とシンデレラ
東堂社長はくるりと背を向け、2階へと続く大階段に向かってスタスタと歩き出す。
はっ、速い!
くそう!
脚が長いからって見せつけてるな!
私は慌てて荷物を引っ掴み、その後を小走りで追った。
「東堂社長! 常務は、ほんとは……」
「理久と呼べ。東堂の名で呼ばれるのは嫌いだ」
振り返りもせずそう告げて、軽やかに大階段を上がり始める。
「り、りり、理久さん! 常務は、ほんとは、ほんとは……!」
本当は、ムダにキラキラした仮面のような表情ではなく、もっと無邪気に笑う人だ。
意地悪で、子どもっぽくて、甘党で。
ちょっと扱いが雑なときもあるけど、それは照れ屋さんだからで、ふとしたときにちゃんと大事にしてくれる。
甘い言葉はくれないし、優しくするのが下手な人だけど、本当は、すごくすごく……
「いい人です!」
私が胸を張って堂々と言い放ったとき、理久さんはちょうど階段を上がり切ったところで、冷ややかで呆れ返った視線で私を見下ろして言った。
「薄々気付いてはいたが……。お前、バカなんだな」
むっきーーー!
なんですか、その哀れんだ瞳!
もう、この人、本当にイヤー!