俺様常務とシンデレラ
* * *
「オープニングセレモニーで行われる模擬挙式では、午前は最上階のチャペルでの結婚式、午後からはこのホールで披露宴を行う予定だ」
私と理久さんは、2階にある大きな披露宴会場の中にいた。
「結婚式のほうはまた後で説明するが、料金を下げたから、それに合わせていくつか変更も入れている。当初のものよりも演出や各部のデザインへのこだわりを捨てて、誰でも受け入れやすいものにした」
理久さんは会場をグルグル見回しながら、長い脚でスタスタと歩き回り、各テーブルや新郎新婦の席について早口で説明を続ける。
「披露宴は立食式のパーティーにする予定だが、よりフランクなものにするために、用意していた演奏隊は楽器の編成を減らすか、もしくは常時演奏はやめにするか……」
そこでふと私を振り返り、もともと肉付の薄い顔つきで、心底げっそりしたように私を見下ろした。
「なんだよ、そのふくれっ面は。そんなガキみたいな顔してると"王子様"に愛想尽かされるぞ。捨てられるぞ」
「余計なお世話です!」
だって、納得いかないんだ。
常務は本当はとっても素敵な人なのに、こんな冷酷な男に、小バカにされるなんて!
そしてそれをちゃんと説明できないのが、すごくすごく悔しい。
常務が隠している以上、私が勝手に彼の本性を暴露するわけにはいかないから……。