俺様常務とシンデレラ

「そんな意地悪ばっかり言ってたら、あなたこそ、小鞠ちゃんに愛想尽かされますよ!」


私は悔し紛れに、高い位置から見下ろす冷たい目に向かってそう言ってやった。

ほとんど悪あがきのようなものだったけど、理久さんは意外にもその言葉に反応して、ギョッとしたように私を見る。


「おっ、お前、小鞠を知ってるのか……?」

「え? ま、まあ、あのパーティーでたまたま会って……。すごく綺麗な妹さんですね」


本当に、びっくりするほどの美少女だった。

こうして見れば、理久さんと似ている部分はいくつか見受けられるような気もするけど、ひとつ重大な違いがある。


小鞠ちゃんには抗い難い儚げで保護欲を誘うような魅力があるけど、理久さんはひたすら憎たらしいってことだ!



私が頭の中で若干酷いことを考えつつフッと笑って腕組みをすると、理久さんはなぜかだらしなく頬を緩ませて、ふにゃりと笑った。


え……。わ、笑った!?



「そうだろう? 小鞠って、めちゃくちゃ綺麗だよな。ああ見えて可愛いとこ多くてな、危なっかしい上に泣き虫だから、俺としては心配で心配で……! あのパーティーの夜だって、変な男に絡まれてて俺が助けに行かなきゃ……」


そしてそれから数分間に及び、理久さんによる小鞠ちゃん自慢のマシンガントークは続いたのだった。


こ、この人、小鞠ちゃんにゾッコンなんだ……。

そう言えば、小鞠ちゃん、『お兄ちゃんから逃げて来た』というようなことを言っていたかもしれない。
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