俺様常務とシンデレラ
「しばらく大和とケンカをしていたらしいね。仲直りしたみたいでよかった」
「あ、あの……はい」
会長の後ろでいつも通り厳しい表情だった夏目さんが、いたずらっ子のようにニヤリと笑った。
夏目さんってば、そんなことまで会長に報告しなくていいのに〜!
ケンカっていうか、その、ちょっと距離をあけていただけだし……。
私は気まずくなって俯く。
「大和が私以外の誰かとケンカをするなんて、ひどく久しぶりのことだったよ」
「え?」
そんな私に、会長が小さく微笑んで話しかけた。
少し驚いて見上げれば、そこには葦原ホールディングスの会長ではなく、常務のお父さまとしての表情をした男の人が立っている。
「ありがとう」
常務と同じ黒い瞳が、優しい色を帯びて私を見つめている。
そんなことでお礼を言われるだなんて、思ってもみなかった。
会長や夏目さんがこんなに穏やかに笑うのは、常務のことを本当に大切に思っているからなんだ。
私はなんだかジーンと感動してしまって、コクコクと何度も頷くことしかできなかった。
だって、しゃべったら泣いちゃいそうなんだもん……!