俺様常務とシンデレラ

私はその声にハッとして、お盆をテーブルに置いてから、空いていたもうひとつの二人掛けソファーにぽすりと座った。


ふう、危ない危ない。

おじさんは気付いてないだろうけど、常務、ちょっとイライラしてる。


いつもと同じ優しい声の調子だったけど、私はその中に少しだけ素の常務を感じ取った。



「紹介します。こちら、僕の秘書の佐倉です」


常務が私の方に右手を差し出して、おじさんに改めて紹介するので、それに合わせてペコリと頭を下げる。


そして今度はおじさんの方に左手を差し出し、私に向かって怖いほどキラキラさせた笑顔で言った。

いや、この笑顔はギラギラと言った方がいいかもしれない。



「佐倉さん、こちら、東堂グループの東堂蘇芳会長だよ。今日は、アジュールでのウエディングプランの料金に関する相談でご足労いただいた」


「……え?」


私は常務の言ったことの意味がよくわからなくて、ぽかーんと口を開けて常務を見つめ返した。


「ねえ、絵未ちゃんはどう思う? もっと値段下げた方がいいと思うかい?」


そんな私にお構いなしに、おじさん……

常務の言葉を信じるなら、東堂会長が、ニッコリと微笑んで話しかけてくる。
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