俺様常務とシンデレラ
常務の身体に視界を遮られ、腕の中に閉じ込められて逃げ場を失う。
素早く両手首を掴まれて壁に押し付けられたので、驚いてつい常務の顔を見上げてしまった。
目があってしまえば、もう誤魔化せない。
黒い瞳に吸い込まれ、息の仕方も忘れてしまう。
私はこの人に、ドキドキしてる。
「王子様だと思える相手と、恋に落ちたいんだろ? 俺のとこに、落ちてこいよ」
その呪文で魔法をかけるように、目を閉じることすらできない私にもう一度キスをした。
今度は私に文句を言う隙も与えず、隙間を埋め尽くすようにしっかりと唇を合わせる。
甘い唇になぞられ、食まれ、これがはじめてのキスでもないのに、どうやって息をしたらいいのかわからなくなる。
「ひゃっ……んっ……!」
熱い舌にペロッと舐められて驚いて唇を開けば、その間に滑り込み、奥に縮こまった私の舌を見つけ出して捕まえる。
絡め取り、翻弄する。
私が唇の間から吐息をもらすほど、常務のキスは甘く激しくなっていく。
足がふらふらして涙目になり、壁に身体を預けても立っていられない。
常務は私の手首を離して腕を腰に回し、ずるずると落ちていく私の身体をそっと支えながら、それでもキスは止めずに追いかけてくる。