俺様常務とシンデレラ
「よく似合ってるよ、そのドレス。佐倉さんには明るい色が似合うと思ってたけど、そういうのもいいね」
着せ替え人形状態の私を常務が迎えに来たとき、たまたま着ていたのがこのドレスだった。
群青色の鮮やかなミニドレス。
ビスチェのシンプルなAラインドレスで、左の腰元についた大きなリボンと、そこから広がるドレープが、深い青色をさらに際立てている。
髪も緩くアップにされ、お化粧も直された私だけど、左の足首につけていたアンクレットだけは「センスいいわね」と言われ、生き残った。
ありがとう、お母さん!(たぶん)
そして常務はと言えば、まさに王子様かと見まごうほどの立派な燕尾服姿だった。
ジャケットは遊び心のあるミッドナイトブルーで、長い足をスラックスが際立て、白い蝶ネクタイがびっくりするほど似合っている。
いつもより丁寧にセットされた黒髪も、ライトを浴びてキラキラと輝く黒い瞳も、会場中の視線を釘付けにする。
パーティーのメイン会場となっているこの舞踏ホールでも、常務は誰よりも目立っていた。
「うぅー……」
常務のあまりの眩しさに両手をかざして目をガードすると、手首を優しく掴まれて引き寄せられた。