俺様常務とシンデレラ
ふーんだ!
世の女性に見せてあげたい。
本当の常務は子供っぽいし、王子様じゃないし、全然甘くない!
きっと自分が甘党だから、全ての甘い要素を自分で吸収してるんだ。
常務の黒い瞳に映る怒った私の顔も、大概子どもっぽいけれど、それは置いておこう。
「だけど、俺が誰をいちばん可愛いと思って、誰を他の男にはやりたくないと思うかは、俺の勝手だし俺の主観だ」
不敵に笑い、尊大に宣言する。
不機嫌に睨みあげる私の視線を軽く受け流し、常務はそっと顔を近付ける。
それから突き出した私の唇に、同じ形にした自分のそれを優しく触れさせた。
「俺が誰にキスしたいと思ってるか、わかるだろ?」
鼻先が触れ合う程の距離で囁かれて、私の顔はゆでダコのようにボンッと赤くなる。
尖らせた唇が本当にタコみたいだ。
常務の手に挟まれた頬は、特別熱く燃え上がっているように感じる。
くっ、くうぅーーー!
なんか言え、私!
これじゃあまるで、私が常務にメロメロみたいじゃん!
「しっ、しし、しっ、知りません! そんなの!」
「ほほーう。この前十分に教えたつもりだったがな。もう手加減は必要ないってことか?」
私はその言葉にギョッとする。
あれで手加減してたの?
私なんて、強烈すぎて腰抜かしちゃったのに……!