運命の二人~白と黒の物語~
「クレイ。ここで止まって。」


凛々はクレイに一ヵ所に留まるように指示をだした。


クレイは素直に従い、結界の前で浮いた。


凛々の心臓が早鐘のように打ち始めた。


胸に手を置き、目を閉じる。


(私は出来る。)


すっと目を開けると手を前にかざしてゆっくりと回し始めた。


すると網目のような結界の縦糸と横糸が少しずつ寄っていき、“穴”があき、大きく広がっていく。


これが凛々の考えた方法だった。


結界を“壊さずに穴を開ける”
こうすれば結界に触れないので見つかる事はない。


もとに戻せるから、出ていった事も気づかれずにすむ。


(うまくいった!)


「さあ、クレイ。ここからが本番よ。」


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