運命の二人~白と黒の物語~
「婚姻相手は王族と決まっている訳ではないんだ。だから、まわりと区別するため、女神には“W”を、王となるものには“B”の称号が与えられる。
条件を満たすとなると、王族であることが多いがな。長男とも限らない。
ちなみに私は兄が三人いる。」

「じゃあ私は…」

「天界の事は良く分からない。性別のない天界人にとって、女神は神聖なもの。他の天界人とは別に秘密に育てられると聞いた事がある程度だ。」

「それでどうやって生まれた事がわかるんですか?」

質問を続ける凛々に、ジャスティスは優しく目をむけて答えた。

「私を見てごらん」

そう言って凛々に顔を上げさせた。
凛々は虚ろな目でジャスティスを見た。

「ほら、ここだ。」
そう言って自分の額にある紅い石を指さした。

「“契約の神”が決めた相手は、手に石を握って生まれてくる。
相手の目の色と同じ色の石を。」

ジャスティスは凛々の目を優しく見つめている。
ジャスティスの額には金の細い鎖につけられた石が煌めいていた。紅く燃える炎の様に見えた。

「君の石はここにある。」
そう言ってデスクに向かい、引き出しから、小さな黒い革の小箱を出してきた。

それを凛々の手のひらにのせると、開けるように促した。

凛々が開けるのをためらっていると、凛々の手に 自分の手を重ねて、一緒に蓋を開けた。

中には黒く丸い石が入っていた。大きさはビー玉位で、硝子のようにも見えるが、中に沢山の光が瞬き、何で出来ているか分からなかった。


凛々はジャスティスの顔を見た。
ジャスティスの目は黒く、星を散りばめたように光が瞬いている。まるで小さな宇宙のよう。


石に視線を戻すと、同じように煌めく石がある。彼の目を取り出して置いたようにそっくりの色だった。

凛々はギュッと目を瞑った。

誰か嘘だと言って。
全部夢だと。

今の凛々には到底受け入れられない現実だった。



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