エターナル・フロンティア~前編~

「僕は、君達の為に研究を行っている」

「違う。自分達を満足させる為だ」

「心外だ。僕は、他の奴等とは違う。力を持つ者のことも考えている。お陰で、君達は以前よりは過ごしやすいだろ?」

 ユアンの言葉は、正論に近かった。確かに、今まで多くの者達から差別を受けてきた。今もそれが残っているとはいえ、暮らしに支障を来すというまでにはいかない。此方から望んで迫害を受けるような行為を行わなければ、一般人と何ら代わりない生活を送れるが本質は変わらない。

「感謝をしてもらいたい」

 ユアンが言っていることは、表面上だけを見れば正しい意見であった。能力者について理解を広めていくということは、並大抵の努力では行えない。裏を返せば、表を肯定するだけの意味にはならない。所詮は詭弁に等しいもので、全てをひっくり返すだけの力はない。

 科学者は、能力者を研究している。理解を広める為には、そのものを知らなければいけないからだ。だが研究は、彼等の為に行っているものではない。研究――いや、正しくは実験だろう。

 科学者という生き物は、物事に熱中しやすい。それはいい意味も悪い意味も両方含まれており、能力研究を行っている科学者の場合は後者となることが多い。ソラは、ユアンを嫌う。自分の身体は彼等の実験道具でも材料でもなく、それにこのことで多くの仲間が死んだ。

「感謝……多少はしてあげてもいいです」

「ふっ! 強気だね」

「弱気では、生きてはいけません」

 能力者は、常に強い精神の中で生きている。少しでも弱さを他人に見せたら、其処をつかれてしまう。しかし、お前達は――吐き捨てるように言われる言葉の数々に時には押し潰され、己を見失う。

「僕達が支えてあげるよ」

「結構です」

「いつになったら、僕達を受け入れてくれるのか……本当に、寂しい。気持ちが伝わらず、悲しいよ」

 態とらしい溜息をつくと、ソラを見詰める。だが、やはりソラは視線を合わせようとはしない。溜息をつくと、話題を変えることにした。このままこのやり取りを続けていても、同じ台詞のやり取りになってしまうからだ。だが変えられた話題は、ソラの神経を逆撫でするものであった。所詮、犬猿の仲同士。冷静に装っても何処か牽制し合い、いつも負けるのはソラの方だ。
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