エターナル・フロンティア~前編~

「お断りします」

「君だけ特別扱いはできない」

「そのことは、わかっています。ですが、お断りします。貴方達の道具には……なるものか」

 それは「検査を受けろ」という内容であった。能力者は、定期的に検査を受けることを義務付けられている。それは強い力を持つと同時に、科学者の研究材料を欲しているからだ。

 そのことを知っているソラは、科学者からの要請を撥ねつけている。しかし、それも限界が近付いてきている。このようにユアンがソラの目の前に立ち、検査のことを言っているのが何よりの証拠。こうなってしまうと簡単に逃げ出すことは不可能で、簡単に捕まってしまう。

「僕は、君の身体が心配だ」

「それは、オレが死ぬことですか? 死んでしまえば、研究を行うことはできない。だから、必死に……」

「侵害だな。僕は、本気で君を心配している。他の科学者達と、一緒にしてもらいたくない」

 イリアのように心の底から信頼をしている者なら、この言葉を簡単に受け入れてしまうだろう。「何と、優しい人物だ」そのように感じ取り、ソラに検査を受けるように進める。決して、ソラの気持ちを考えようとはしない。ユアンの言葉が全てであり、それが正しいと思ってしまう。

「心配しているというのなら、オレに構わないで下さい。オレは、ただ静かに生きていきたい」

「それは、無理な相談だ。君達は、誰かの助けなしでは生きてはいけない。そのことは、わかっているはず。一人で生きて行くには、辛い世界。しかし、この世界が変わることはない」

 だからといって、科学者が支えになるということはおかしい。本来なら他の人物が彼等を支えるのが妥当なのだろうが、名乗り出る人間はいない。だからこそ、科学者が支える人物とならなければいけない。それに科学者は身の証明がハッキリとしているので、役割としては適切であった。

「顔色が悪いな」

「関係のないことです」

「それは困る。君が倒れてしまったら……」

 其処で、言葉が止まった。何故なら、ソラが苦しそうな表情を浮かべていたからだ。強気な発言をしていても身体は正直。ユアンは困ったような表情を見せると、ソラを両手で抱き締めた。突然の行動にソラは身じろぎするも、放してはくれない。寧ろ、力を込めていく。
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