エターナル・フロンティア~前編~

「帰るか?」

「何を今更」

「目的は、達成した」

 態と、二人に聞こえるように話す。それを聞いたイリアは、クラスメイトを待たせていると言う。そのことにカディオは「おお!」と声を上げると、勝手に呼び止めてすまないと誤る。

「大丈夫です。その……ソラは?」

「寝ていれば治る」

「そ、そうですか……」

「イリアちゃんは、行く行く。友達を待たせているのは、失礼だ。まあ、俺が呼び止めたのが悪い」

「い、いえ。ソラのこと、宜しくお願いします」

「おう! わかった」

 そう言い残すと、イリアは急いでクラスメイトのもとへ帰っていく。その瞬間、何か言われているのか気まずそうな表情を浮かべていた。それを無言で見ていたユアンが、徐に口を開く。そして、詫びを述べる。突然のことにカディオは反射的に、何故謝るのか尋ねた。

「ラドック博士が謝ることは……」

「あの集まりの中に、研究所で働いている人物がいる。だから、僕にも責任がある。どうやら、礼儀作法を教えた方がいいようだ。あれでは社会に出た時、苦労をする。何より、女性としては失格だ」

 一方的に質問責めにしているクラスメイトの面々に、ユアンは苦笑する。ユアンは、彼女達を礼儀正しい女性だと認識していた。しかし今回の件で、それが違うということが判明してしまう。

「お互い、苦労している」

 ソラに向かって小声で、カディオが言葉を投げ掛けてくる。一瞬、その意味を理解できないソラはきょとんとした表情を浮かべるが、徐々にその意味を理解していくとフッと笑った。

「そうかな?」

「お前達みたいに、定期的に会っていると気付かないものだ。俺の場合は、久し振りの出会いだったから……だから、何と言うか……これは個人的な判断だから、怒らないで欲しい」

 カディオの言葉に、過去のイリアを思い出す。昔は物静かでおとなしい性格であったが、今は何処か違っていた。これも研究所に通っている所為とソラは思っていたが、どうやらそれは違うらしい。何か大きな切欠があったとしかいいようがなく、それに微妙な空気が漂う。
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