エターナル・フロンティア~前編~
「無理なものは無理だ」
「そ、そんなことはないぞ」
振り返り反論を試みるも、その後が続かない。どうやら、カディオ自身も自覚しているようだ。
「張り合って、勝てるような相手じゃないよ」
長く付き合っている手前、ソラはユアンが周囲からどのように思われているのか知っている。美形と謳われる男なら数多く存在しているが、外見の印象だけではユアンに勝つことはできない。問題は人を惹き付けるカリスマ性なのだが、そう簡単に得られるものではない。
ユアンは、そのふたつを持ち合わせている。そのことはソラも認めているが、気に入らない。また、悔しいという感情がないと言ったら、嘘になってしまう。そして認めるところは認めるが、全てではない。
「どうすれば、俺も……」
「生まれ変わるしかない」
「そ、そんな」
容赦ない一言に、完全にへこんでしまう。そもそも、ユアンと張り合おうとする方が間違っている。彼に勝てる人物など、そうそういるものではない。その前に、知識からしてカディオは負けている。それなら今から勉強を行えばいいが、残念ながら持続性に欠けていた。
「まあ、そんなに悲観することもないよ。例の彼女を射止めて、幸せになればいいじゃないか」
「そ、そうだ! 俺には、彼女がいたんだ」
「本当に、単純だな」
今までへこんでいたとは思えない早さで復活をすると、カディオはガッツポーズを作る。その姿を見詰めるソラは重い身体を起こすと、溜息をつく。扱いやすい性格――情けないとしか言いようがない。
「よし! 帰るぞ」
「いや、もう少し待ってくれ」
「それなら、俺が背負ってやるぜ」
そう言いつつ、カディオはソラに背を向けしゃがみ込む。そして手を振り背中に乗るように促すが、素直に従うことはできない。何より、恥ずかしい。そのまま、暫しの時が流れる――
すると、無言のままカディオがソラの目の前まで歩み寄ってくる。そして何を思ったのか、いきなりソラの身体を抱き上げた。所謂、お姫様抱っこ。その瞬間、ソラの悲鳴がこだます。懸命に暴れ降ろしてほしいと訴え掛けていくが、カディオが聞き入れることはない。