エターナル・フロンティア~前編~

「元気じゃないか」

「まだ、少し悪い」

「どこがだ! ぬお!」

 叫んだと同時に腹に響いたらしく、その場で蹲り唸り声を発する。ソラはカディオより腕力はないが、人体の急所の位置は熟知している。その結果、簡単に相手を倒すことが可能だった。

「力を使うより……いいだろ?」

 囁くように発せられた言葉に、カディオの身体がピクっと反応を見せた。一般の人より能力者に理解があるとはいえ、恐ろしいことには代わりない。だからこの反応は、適切なものであった。

 恐る恐る顔を上げソラの表情を確認するが、怒っている様子はない。逆に、偽りのない反応を喜んでいた。言葉と身体の反応が一致しないということは、相手に対して嘘をついている。カディオはある意味で馬鹿正直といっていいが、能力者と付き合うにはこれくらいがいい。

「わ、悪い」

「お前の反応は、わかりやすい」

「それって、俺が単純ってことか?」

「意外に、そうかもな」

「お、おい!」

「ほら、単純」

 苦虫を噛み潰したような表情を見せるカディオに、ソラは大声で笑う。そして「自覚があればいい」と言うと、カディオに向かい手を差し伸べる。不機嫌そのもののカディオであったが、差し出された手に掴まり立ち上がった。そして、お返しとばかりに臭い台詞を返す。

「俺は、お前がどのような存在であろうと、このまま友人関係でいてやる。まあ、信用したまえ」

 何の躊躇いもなく真顔で言うカディオに、ソラは微笑を浮かべていた。まさにこの言葉こそ、能力者に必要なものだろう。このように言ってくれる存在は数少なく、貴重な相手だった。

「あれ? 今日は、素直だな」

「反論してほしいか?」

「いや、毒を吐かれたら困る」

 その言葉にソラは目を丸くすると、苦笑いを浮かべる。そして「毒を吐くのはお前だ」と、言い返す。それはお互いの性格がわかっているからこそ、言い合える言葉。そのことを改めて実感したソラは、嬉しそうであった。まさに、最高の友人を手に入れた瞬間だった。
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