エターナル・フロンティア~前編~

「何か買っていくか?」

「花でいい」

「それを買ったら、行くぞ」

「相変わらず、テンションが高い。別に、お前が主役じゃないというのに……というかその前に、少し待っていてほしい。風呂に入りたい。昨日は風呂に入らずに、寝てしまったから」

「おう、車の中で待っている」

「了解」

 不摂生と取れる生活スタイルであったが、カディオはそのことを指摘することはしない。長く付き合っている友人関係というべきか、ソラの生活環境を理解していた。同性という理由も関係しているが、大半のことを理解してくれているカディオの方が正直付き合いやすい。

 時折無理難題を突き付けてくるが、決して無謀なことを押し付けているのではない。付き合っている年月では、イリアの方が長い。しかしイリアには深い面の話をしていないので、頼るわけにはいかない。

 だからこそ、カディオの方を頼りにする。相手がイリアだった場合、適当なことを言い追い返している。本当は彼女に真実を語らないといけないのだが、辛くて話すことはできない。

 それは、今のままで十分だったから。それに、イリアに重荷を背負わしたくないのが本音だった。不幸に等しい日々を過ごしているが、ソラは今の状況に満足し友人と呼べる者もいる。

 また、遊びに来てくれる人物もいれば、相談に乗ってくれる人物もいるからだ。その結果、時折迷惑な振る舞いをする者もいるが、孤独よりは何倍もいい。部屋の中に、ドアが閉まる音が響く。その音にカディオが出て行ったと判断すると、ソラは風呂に入る準備を進めた。


◇◆◇◆◇◆


 その頃イリアは、資料と格闘していた。深い溜息を何度もつき、イリアはパソコンの画面から視線を外す。今、彼女がいる場所は国立図書館。数日後に迫った、卒論の調べ物をしていた。結局のところお金の都合がつかず、このように図書館で寂しく卒論を仕上げている。

 いや、卒論は既に仕上がっていた。しかし優秀な科学者を目指したいというプライドの影響で、図書館で調べ物をすることになってしまった。アカデミーの図書室とは異なり、此処では思った以上の資料の量に驚く。だからこそ、思った以上に早く卒論を仕上げることができた。
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