エターナル・フロンティア~前編~
それに二人に関してのトラブルが発生した場合、周囲が何とかしてくれることが多い。このことで多少強気に出たとしても、何ら問題はない。寧ろこの場合は、強気に出た方がいいに決まっていた。そうでなければ、二人は学習しない。そして、更に被害者を生み出す。
(うん、そうしよう。頑張れ)
自分自身に気合を入れると、使用していたパソコンの電源を落とす。そして荷物をカバンの中に仕舞うと、アカデミーに向かうことにした。今日の講義は午後からなので、午前中は図書館で真面目に卒論を仕上げるという計画を立てていたイリアであったが、以外に早く終わったしまった。
後は仕上げた卒論を教授に提出し、不備がないかチェックを受けるだけ。これで合格を貰えれば、晴れてユアンのアシスタントとして働くことができる。尊敬している人物との二人っきりの時間。これを切欠に、更に上を目指せたらと……妄想が風船のように膨らんでいく。
その時、空腹を知らせる音が鳴る。その音にイリアは赤面すると、誰かが聞いていないかと周囲を見回す。静かな図書館の中。だが幸いなことに、誰もその音を聞いていなかった。逃げ去るように図書館から外に出ると、大通りへ飛び出す。その為、周囲に何があるか確認できなかった。
黒い大きな物体が、イリアの目の前を通り過ぎる。そう、あわや車にひかれるところであった。悲鳴を上げ、後退する。その危険な行為に、周囲にいた人々から注意を受けることになり気分が滅入ってしまう。友人達からの頼みごともあったが、イリアは卒論が終わったことに気分が良かった。
しかしこの件で気分が悪くなってしまうが、これは自業自得なので仕方ない。このままの気分でアカデミーに行っても、良い気分で過ごすことができない。卒論が終わったのでアカデミーでの用事は殆んどないのだが、信頼できるクラスメイトに会いに行くだけでも楽しい。
だが、今の気まずい状態では楽しむことはできない。イリアはポケットから携帯電話を取り出すと、時間を確認する。それにより、まだ時間に余裕があることが判明し気分転換を行うことができた。それならオープンカフェで飲み物を注文し、ゆっくり時間を過ごすのもいいだろう。
清々しい日差しの下、美味しい食事をすれば悪い気分も吹き飛ぶ。それに、先程から小さな音をたて鳴る腹。そろそろ何かを入れてあげなければ、更に大きな音で訴えかけてくるだろう。大勢が集まる大通り。
図書館より賑やかであったが、いかんせん人数が多い。図書館では誰にも聞かれてはいないが、此方は誰が聞いているのかわかったものではない。騒がしい中でも、この音は目立つ。笑われるのは必至で、もし近くにアカデミーの生徒がいたらいい笑い話になってしまう。