エターナル・フロンティア~前編~
「ところで、昼食はまだかな?」
「いまから、食べようと思っています」
「それなら、一緒にどうかな? 今度発表する内容も、知っておいた方がいい。嫌なら、構わない」
「そんな……御一緒させていただきます。えーっと、その……ラドック博士と食事ができるなんて、嬉しいです」
「素敵な店を案内するよ」
ユアンは微笑むと、優しくイリアに車に乗るように誘う。今までソラと何回か食事に行ったことがあるが、その時以上の緊張感を味わう。経験したことのない状況に身体が固まり、どうしていいのかわからなくなる。結果、乗るのを躊躇いどうすればいいか迷ってしまう。
それに、このようなところを誰かに見られたら――アカデミーでのファンクラブ会員数は、半端ではなく多い。その中の誰かに知られたら、安全にアカデミーに通えなくなってしまう。流石に命の危機とまではいかないが、嫉妬に駆られた女性は何を仕出かすかわからない。
「どうした?」
「な、何でもありません」
周囲を見回しクラスメイトがいないことを確認すると、イリアは慌てて車に乗り込む。そしてシートベルトを締めると、緊張がピークに達したのか動かなくなってしまう。その素早い動きにユアンは目を丸くするも、イリアの行動が面白かったのかクスクスと笑みを漏らし、大丈夫か尋ねた。
「へ、平気です」
「緊張をしているようだね」
「す、少し……」
「別に、取って食おうというわけじゃない。そんなに緊張をされると、こちらが悪いように思われる」
「……御免なさい」
「謝ることはないよ。さて、出発しようか」
ユアンは車に内蔵されたナビを弄くると行き先を打ち込み、車を発進させる。店に到着するまでの、ひと時のドライブ。イリアは何と話しかけてよいか思考を働かせも、半分停止した頭ではなかなか思いつかない。寧ろ考えれば考えるほど不可思議な想像をしてしまい、赤面してしまう。
するとパニック陥っていたイリアに、ユアンが話し掛けてくる。その声にピクっと身体を震わせ反応を見せたイリアは、何事だと左右を見回す。その反応にユアンはクスクスと笑うと、カバンの中からノートパソコンを取り出し、その電源を入れるように指示を出した。