エターナル・フロンティア~前編~
「人類の新たなる進化の形。そのように夢のある話なら、問題などない。だが、秘めている力は脅威となる」
「昔は、怖いと思っていました」
「それは、誰もが抱く感情。おかしいことはないよ。この研究をはじめる前は、僕も怖いと思っていた」
「信じられません」
「いや、これが普通だ」
「でも、その所為で……」
出会った当初、そのことで喧嘩に発展したことがあった。いくら幼馴染とはいえ“怖い”という感情が存在していたのは間違いない。だからこそ感情的に冷たい言葉を言い、溝を生む。
それは嫌な思い出となっているのだろう、先程までの明るい表情が一変する。そしてポツリポツリと自分の行いを語っていく姿からは「辛い」という思いが見え隠れし、ユアンの顔を歪める。
「その時、私は怒らせてしまいました」
「昔の出来事だろう?」
「はい。ですが……」
「気にすることはない」
「で、でも……」
「相手だって、本気で言ったとは思っていない。君は、傷つけるつもりで言ったわけではなさそうだし」
「勿論、そうです」
「なら、大丈夫だ」
「いえ、そのことは。ソラには、謝りましたから」
謝った――
そう、本気で謝った。
イリアは、ソラを嫌っていない。いないが、本音を漏らすことがある。相手を傷付ける力。それを「怖くない」と言ったら、嘘になってしまう。寧ろ、正直に心情を吐露する方がいい。ユアンは丁寧に、そのことを語って聞かせていく。同時に、イリアの心情を知った。
「なるほど。喧嘩の相手は、彼だったのか」
「は、はい……」
すると、ユアンは急に笑い出した。そして「仲が良いね」と言い、暫く笑い続けている。余程面白かったのか、ゲラゲラと珍しい笑い方をしている。無論、これは相手に対して失礼な笑い方だ。しかし、イリアは「ユアンだから」ということで、何も言うことはしなかった。