エターナル・フロンティア~前編~
「仲がいいですかね?」
「昔から“喧嘩するほど仲が良い”と、言うからね。まったく、羨ましいよ。僕はいまだに、彼女ができない」
その言葉に、イリアは頭を振る。ユアンは人気があり、その気になれば、簡単に作ることができる。それは作ろうと本人が動かないだけであって、人気がないわけではない。「研究が忙しく作る暇がない」それが主な原因となっているのだが、ユアンは何も言わなかった。
尊敬する人物が、困っている。そのように察したイリアは早く彼女を作ってほしいと思いはじめるが、ユアンに彼女ができてしまえば、悲しい思いをするのはファンクラブの面々。
複雑な心境の板挟みになってしまうが、この場合は仕方がない。憧れの人が幸せになれば、イリアにとっては嬉しい。それに、女同士のいざこざに巻き込みたくないというのが本音。
そう、ファンクラブの面々の行動は度を越している。内心、それから守りたいというのが、ないわけでもなかった。イリアは懸命にユアンの恋愛を応援し何度も両手を振ると、笑顔を作る。
「私、頑張ります。お仕事が、少しでも楽にできるように。そうすれば、ラドック博士も彼女を作る時間が持てます」
「有難う。でも、好みの女性が現れるかな」
その台詞に、イリアの胸が痛む。「好みの女性――」何気ない単語は、イリアが置かれている状況を表していたからだ。同時に、幼馴染との関係に悩む。そう、ソラの好みは誰か――
「きっと、現れます」
ユアンに気付かれないように頭を振ると、心の中で思っている内容とは違う意味合いを持つ言葉を発する。しかし、心が苦しい。彼女は、ソラが自分をどのように見ているのか気になっている。なっているが、現在口に出す内容ではない。無理矢理心の奥に仕舞うと、ユアンの話を聞く。
「僕の理想は、高いからね」
「そんなに、高いんですか?」
「重要ポイントは、料理が上手い女性だね。どうも料理だけは苦手で、作れないこともないが簡単な料理になってしまう。それに忙しい時などは、外食が多い。だから、偏食になってしまって」
次々と語られていく、ユアンの理想の女性像。一字一句聞き漏らしてはいけないと、真剣な表情で聞き入る。生憎、料理は得意分野ではない。どちらかといえば、研究の方が得意であった。何せ、全ての料理を母親に作ってもらっているのだから。勿論、キッチンに立ったこともない。