エターナル・フロンティア~前編~
「さあ、行こう」
「はい!」
嬉しそうなイリアの声音に頷き返すと、ユアンはスピードを速めた。そして、駐車場に向かった。
◇◆◇◆◇◆
車を駐車場に止めると、ユアンは先に車から降りてしまう。慌ててそれに続くイリアは、車から降りると同時に連れて来られた店に視線を向ける。其処は海を一望することができる、落ち着いた雰囲気の店であった。そして「海鮮料理の有名店」と、ユアンが説明していく。
イリアは、魚介系は苦手であった。しかし、ユアンに好き嫌いがあるとは言えるわけがない。人の好意を無にすることは、失礼に当たってしまう。仕方なく無言のまま、後をついて行くことにした。
昼ということで店内は客で溢れており、ウエイターからは満席だから少し待っていてほしいと言われてしまう。そして席が空くまでの間に料理を選んでいてほしいと、メニューが手渡された。
「好きな物を注文していい」
「は、はい」
そのように言われたところでイリアは魚介系の料理が苦手なので、すぐに選ぶことができないでいた。そもそも、食べられる料理が殆んどなかった。暫くメニューと格闘してみるが、とうとう根を上げてしまう。そして最終手段として、ユアンに選んでもらうことにした。
「どの料理が、美味しいのですか?」
「此処は、シーフードパスタが美味しいらしい。有名で、このように賑やかなのもそれが目当てなのだろう」
「では、それにします」
「そうか、それなら僕は……」
イリアの声音は、微かに震えていた。シーフードという名前がついているからには、魚介類から逃げることはできない。それに「それにする」と言った手前、今更変更はできない。条件反射というものは、実に恐ろしいもの。ついついいつもの癖で即答してしまい、後で激しく後悔してしまう。
もし相手がユアンではなくクラスメイトであったら、変更していた。友人と尊敬の対象、やはりその差は大きい。無意識に、行動に表れてしまう。女が持つ、独特の二面性――勘がいいユアンは、そのことも気付いていた。イリアの観察――いや、女性の生態の面白さを見出す。