エターナル・フロンティア~前編~
「では、僕も同じのにしよう」
「お揃いですね」
一組の客が清算を終え、店から出て行く。ウエイターが置かれている食器類を片付けると、二人を案内する。店の隅のテーブル。此処からは海を臨むことができ、最高の場所であった。
ユアンはウエイターに飲み物と料理を注文すると、イリアに質問を投げ掛けていた。内容は、卒業後の就職先のことについて。ユアンの話ではこれから能力について学んでもらい、その道の科学者として働いてほしいという。無論、それは寝耳に水。まさに、衝撃的だ。
「私が? 無理です。能力関連は、難しいと聞きます。それに、アカデミーで学んでいる分野が違います」
「これから研究が忙しくなるから、優秀な人材を確保しようと考えていてね。君だけじゃない。他にも数人当たっている」
「そ、そうですか……」
自分だけ声を掛けられたと思っていたイリアは違うとわかった途端、悲しい表情を作る。でもそれは仕方ないことで、優秀な科学者の卵は多い。いくらアカデミーの成績が良くても、それは狭い範囲での認識にすぎない。
狭い場所で培った認識では広い世界に出た場合、必ずといっていいほど挫折を味わってしまう。だからこそ、若いうちから挫折という言葉を覚えておくことは相手の為になることが多い。ユアンが嘘を言わず容赦ない一面を見せるのは、このようなことが関係していた。
「卒業してからも、学ぼうと思えば学べる」
「で、でも……」
「何か問題でも?」
「あの……能力研究は、能力者(ラタトクス)を研究対象にするのでしょうか? それでしたら、私は……」
「ああ、そのことか。心配しなくていい。別に、人体実験をしたりするわけじゃない。それに、彼等も協力的だよ」
そのようにユアンは言うが、所詮それは研究を行う側の意見。見方が異なれば、意見も違う。ソラは受ける立場であり、ユアンは行う立場。論じる答えが一緒になることは、決してない。
「私の場合は、幼馴染が……」
勿論、ソラのことが気に掛かる。同時に、幼馴染と同種の存在を研究していいのか迷いが生まれてしまう。しかし本音の部分ではこの道に進みたいと考えており、ソラにタツキを紹介してもらう約束を取り付けた。だが、相手がユアンになった途端、動揺が隠し切れない。