エターナル・フロンティア~前編~
『で、何か問題があったのかな?』
「いえ、そのようなことは」
『着信があったからね。まさか、卒業ができないとか? いや、ランフォード君なら大丈夫だろう』
「卒業に関しては、大丈夫です。卒論も合格を貰いました。ただ、今回はラドック博士にお願いがありまして……」
『願い?』
「はい。実は――」
厚かましいとわかっていても「友人の為」という理由から、ユアンに例のことを頼んでいく。突然の提案に無論ユアンは最初は驚いていたが、断る理由がないということで、快く引き受けてくれた。優しい心遣いユアンに、イリアは反射的に裏返った声音を発してしまう。
まさに、予想外の反応。
イリアは、間髪いれずに断られると思っていた。
だが、いい意味で予想が外れた。
『元気だね』
「す、すみません」
『喜んでくれて、嬉しいよ』
その喜びは、イリアだけではない。ユアンを尊敬している多くの者が、同じ反応を見せるだろう。例の二人を除いて友人達が喜び、嬉しがってくれる。それだけで、イリアは満足だった。
了承を得られたことで、イリアは様々な提案を行う。それは無理難題や迷惑とも取れる内容も含まれていたが、ユアンは特に意見を返すことはせずに、イリアの意見を聞いていく。
そのことに「優しい人物だ」とイリアは感じ取るが、ユアンの心の中は気付いていない。多少、迷惑とも取れる何かがあることを――やはりユアンは、そのことを口に出すことはしない。
『期日は、いつでもいいかな?』
「卒業式の前がいいです」
『そうだね。卒業してしまえば、忙しくなってしまう』
「はい。宜しくお願いします」
『此方こそ、宜しく』
その声音は、普段とは違うモノが含まれていた。その声音にイリアは何かあったのか尋ねると、ただ一言「疲れている」と、返ってきた。それこそが、彼の本音というべきものだろう。ユアンは日々仕事に忙殺されており、プライベートは無いに等しい生活を送っている。