エターナル・フロンティア~前編~
『……ランフォード君。すまないが、電話を切っていいかな。どうやら、長い話になりそうだ』
「何か、あったのですか?」
『トラブルが発生してしまって、僕はその対応に向かわなければいけない。本当に、すまない』
「わかりました。此方こそ、急な電話ですみません。それと、トラブルって……ご無理をなさらないで下さい」
『有難う。では――』
ユアンのそのような言葉の後、電話が切られる。プツっという音を聞いた後、イリアも同じように電話を切る。次の瞬間、心の中に嬉しいという感情が込み上げてくる。ユアンが自分勝手なお願いを聞き入れてくれたということと、自分のことを心配してくれたからだ。
特別な存在――無論、そのような感情は相手に抱いてはいないが、嬉しいものは嬉しい。イリアはベッドに倒れこむと、白い天井を見詰める。そして、今後のことについて考えていく。
ユアンと何処へ行くか。
一番の問題は、これになるだろう。友人達に言わせれば「ユアンとなら、場所は関係ない」と言うに違いないが、何事も下準備は欠かせない。いくら気にならないと言っても、混雑した場所では思いっ切り楽しむことはでいない。それなら、どのような場所がいいのか――
正直、イリアはこのような計画は苦手だった。その結果、いつも誰かの後をついていく。下手に計画を練るより、それを得意としている人物に任せた方がいいのではないかと、思えてくる。
しかし、このような考えも思い浮かぶ。
行き先は、ユアンに決めてもらおう。
これまた他人任せになってしまうが「ユアンが決めた」と言えば、不平不満が生まれることはない。円満に済ませるのならこれがいいのだが、一応友人達にその点を確認しないといけない。
(今から楽しみ)
就職前の思い出作りに、イリアの心は弾んでいた。
何より、ユアンの存在が大きい。
やはり、良い人。
嫌な顔一つせずに提案を受け入れてくれたことに、イリアはユアンの器の大きさを知る。物事がいい方向に進むことに、イリアは口許を緩め余韻に浸る。刹那、ソラの顔が脳裏を過ぎり、同時に胸が締め付けられていく。ユアンの件は何とかなったが、問題はソラの方だ。