エターナル・フロンティア~前編~

 苦しみ――

 そして精一杯足掻くことは、無駄な行動というのか。しかし現在の状況では、その言葉が適切であった。どのような内容であったとしても、巨大な物に立ち向かうだけの力はない。

(一体、どうすれば……)

 これに関して、答えは見付からない。それどころか、考えれば考えるほど深い闇に沈んでいく。そもそも、能力者とは何か。力を持たない者は、どのように彼等に接すればいいのか。

 互いに認め合う――言葉では簡単に表すことができるが、実際にそれを行うとなれば、様々な問題が生まれてしまう。それだけ複雑に絡み合い、それを解くには長い時間と労力が必要だ。

 しかし、それを行う者はいない。今のところ、タツキやクリスがそれに当て嵌まる人物になるだろうが、いかんせん二人が持つ力が弱い。よって、目立った行動を取ることができないでいた。


◇◆◇◆◇◆


 灰色の壁が印象的な廊下を、カディオは歩いていた。彼の歩調は一定のリズムを刻み、決して乱れることはない。その歩き方は普段のカディオをとは思えない動きであったが、これこそ本当の彼といっていい。

 ソラといる場合、カディオは不真面目な一面を出す。それは分かり合っているからの行動で、実際のところ不真面目に振る舞っている方が楽といっていい。結果、凛とした姿で歩くカディオはぎこちない一面を生み出し、見る人が見れば「頑張って演じている」と、言う。

 そのような行動を取るのには、理由が存在する。特に、彼が働いている場所なら尚更。カディオがいる場所は常に張り詰めた緊張感が付き纏う、イリアがいる研究所と似ている。だが、カディオは歩いている場所は、研究所とは別の施設。それは、彼の職業が深く関係していた。

 軍に身を置く者は、どのような存在か。

 また、どのような役割か。

 本当に、多くを救っているのか。

 そして――

 そのようなことを考えながら、カディオは廊下を歩いていた。以前は、このような考えなど持つことはなく、ただ漠然と「かっこいいから」という曖昧な答えの中で生活をしていたが、今は違う。ソラと付き合うようになってから、少しずつ考えに変化が生じてきていた。
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