エターナル・フロンティア~前編~

 いつの間にか、能力者は悪の象徴へ変化していく。それによりあらゆる負の感情を押し付けられ、迫害を受ける。罵られ蔑まされ、死体になったとしても見下す。それが運命かのように――

 人類は、何処まで堕ちていくのか。カディオは目の前にいる同僚を見て、そのような思いが湧き出す。堕ちた結果、心というものを失う。いや、闇に食われてしまうのだろう。微かな善の心が残っているのなら、誰も能力者を軽蔑はしない。在るがままに受け入れ、共に生きる。

 しかし、現実は――

「だから、科学者の研究対象になってしまうのか。確かに、あれの肉体構造は知りたいよな」

「生まれながらにして、実験生物――モルモットだよ。醜悪な肉塊には、相応しい役割だと思うけどね」

「俺が科学者だったら、解剖したいな」

「それ、俺もだ」

 所詮、彼等にとって実験用のマウスに等しい。身体の構造を明確にすると言いつつも、それは建前上の話。本当のところは知的好奇心を満たす道具であり、命の尊さなど其処にはない。

 人権侵害。この言葉は、能力者以外に適応される。だから時として家畜以下に扱われ、好き勝手に身体を弄られる。科学者はそれを普通に行い、それについて咎める者などいない。

 泣き喚き命乞いをしようとも、相手の耳に届くことはない。ただ、嘲笑い狂った笑みを浮かべる。部屋の中に漂うのは、噎せ返るような血の香り。そして周囲を赤く染め上げる赤の色彩は、神経を狂わす。心の中に生まれた悪魔は耳元で囁き、甘い誘惑へと誘う。それにより、命は奪われていく。

「お前達は、何故――」

「その理由を知りたいか? 正直に言うと、違うからだよ。俺達とあいつ等は違う。昔、あっただろ? 肌の色の違いで差別したという歴史が。あれと同じだよ。異端の存在だからだ」

「だけど、役には立っているさ。あいつ等のお陰で、医学は確実に進歩をしている。宇宙は広い。今でも、未知のウィルスが発見されているらしいからな。でも、その心配はないよ」

「そう、彼等を利用する」

 カディオは当初、何を言っているのかわからなかった。しかし冷静の言葉を聞いていった瞬間、全身の血が沸きあがるほどの怒りが生まれる。何故なら彼等が言っているのは、一種の人体実験。確かに彼等の肉体構造は、他者に勝るものがある。だからといって、それを行うとは――
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