エターナル・フロンティア~前編~

 実験体は実験体らしく生き、科学の発展の為に尽す。それ以外、使い道がないからだ。その説明に、カディオの頭を振る。使い道がない――そのような考えは、誰が決めたというのか。

 人間が同じ人間の存在意義を決めていい理由は、何処にも存在していない。ましてや彼等は創造主ではない。これこそ驕りというもので、カディオはソラを含めてその関係者に出会い多くの者を学んでいった。そして、ひとつの答えを導き出す。悪いのは、自分達だということを――

「毒されたか」

「嫌だね。洗脳って」

「違う!」

「それなら、協力しないと」

 言葉と共に、相手はカディオの胸元を指差す。そしてそれを水平に動かすと、何かを切り裂く動作を取る。それは「お遊び」に等しい行為であったが、冗談でやっていいものではない。

 刹那、カディオの眉が動いた。それを見た二人は互いの顔を見合すと、興醒めしてしまう。これ以上は、期待した反応を得ることはできない。そう判断すると、捨て台詞とも取れる言葉を残し立ち去った。

 この場合、興醒めという言葉は適切ではない。本当は、カディオに勝てないと思ったからだ。信念を含んだ言葉は強く、いい加減で表面しか見ていないご都合主義の言葉では勝つことはできない。

 日頃から肉体を鍛えている影響か、カディオの攻撃を受けた者は普通の足取りをしていた。しかし鍛えているのは肉体だけではなく口も同等に鍛え、それは捨て台詞に表れカディオを更に苛立たせる。

 ホルマリン漬けがお似合いだ。

 二人が発した言葉にカディオは、逆に相手がホルマリン漬けになればいいと思ってしまう。誰も好き好んで、身体を提供したりしない。だが、彼等にしてみれば、それが正しいと思っている。そう、全ては生まれながらにして決まっている――と、彼等は言い続けている。

(お前等こそ、洗脳されている)

 人々は恐ろしいという理由で、能力者を迫害する。そして彼等を利用して、科学の発展を突き進む。この矛盾は、一体何処から生まれるというのか。あれは好き。でも、これは嫌い。まるで、子供の我儘に等しい。

 それが、この世の摂理といってもいい。そして摂理から外れた者は、批判の対象となってしまう。能力者には及ばないが、社会的地位は著しく低下してしまう。しかしカディオは、出世する気などなかった。態々迫害をしてまで、得るものではないと考えていたからだ。
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