エターナル・フロンティア~前編~
(わからない)
この現状に、明確な回答など存在していない。そもそも、このような展開になってしまった理由さえわかっていない。時代の流れ――と言ってしまえばそれまでだが、それで片付けていいものではない。
何故、どうして――
発せられる言葉は霧散し、人々の耳には届かない。慈悲と慈愛――恵まれない不幸の相手には優しく手を差し伸べるというのに、どうして末端にまで及ばないのか。やはり、彼らとて同じ。
何も知らない者は――
故にカディオは、大義名分を掲げている慈善団体が嫌いであった。表向きは素晴らしい行動を行っていると思われるが、裏を見れば同じ穴の狢。やっていることは、何も変わりはしない。
それなら負の一面を認め、尚且つ歩みを進める人物の方が立派だとカディオは思っている。それはタツキでありクリスであったが、残念ながらそれ以外の人物で相応しい者はいない。
(これから先……)
この先どのような未来が用意されているかは、誰にもわからない。今生きている人々はただ当たり前の生き、当たり前のように生活を送っている。だが、その当たり前の毎日が確実に運命を狂わされていることに、一部の者以外は全くといっていいほど気付いてはいない。
確実にゆっくりと発せられる言葉のひとつひとつが、過ちへと導いていく。そしてひとつの種族を滅ぼすが、涙を流す者はごく一部。有害な生き物が滅んだことを喜び、笑うだろう。
所詮、人間とはこのような生き物。心の闇が強ければ強いほど、人の死でさえ感動の涙を流す。その闇は確実に広がりつつあり、まるでウィルスのように人から人へと伝染し、全ての惑星へと広がっていく。
もう、止めることはできない。
それが現実であり、決められた運命のひとつだから。
◇◆◇◆◇◆
「そう、馬鹿だ」
室内に響き渡るのは、男の声音。だがそれは相手を見下す台詞を言い、嘲笑う一面を見せる。まるで全てを理解したかのような言い方をしているが、この声音の主はそれだけの能力を有している。現に発せられる言葉の数々は的を射ており、正論といっていいものであった。