エターナル・フロンティア~前編~
確かにレミエルは冬を迎えたばかりなのでこの気候は納得できるが、しかし出発する時に確認した予報では今日一日は快晴で、温度が一気に下がるとは言っていなかった。だがこの気候は雪が降るに相応しいもので、愚図愚図していると風邪をひいてしまいそうな雰囲気だ。
気象データが間違っていた。そう思いつつイリアはマフラーを巻き直し、空港の中に向かう。彼女達が降り立った空港は大きく、それに比例して賑やかで様々な種族が行き来している。また巨大な硝子の外には今まで乗っていたシャトルが停泊しており、改めて帰って来たことを実感する。
現在、イリア達はロビーで私物の荷物と購入した土産が荷物専用の通用口から流れてくるのを待つ。そして荷物を受け取った後手続きを行い、これで全てが完了する。あまりこのようなことを慣れていないイリアだったが何とか手続きを終えると、ラウンジに向かい暫しの身体を休める。
「本当に、疲れたわ。今すぐベッドに横になり、グッスリと眠りたい。旅行って、本当に大変ね」
「やっぱり、予定通りにすれば良かった。でも、買い物は楽しかったわ。いっぱい、買ってしまったもの」
「そうそう。レミエルで購入できない物が、沢山あったものね。本当は、もっと購入したかったわ」
「でも、金銭が厳しかったしね」
「そうなのよ。貧乏って、辛いわ」
今更このように後悔したところで、全ては遅かった。予定通りに物事を進めないのだから金銭に問題が生じ、根本的な部分で無理が生じてしまう。それに貧乏なのは自分達のせいではないかと心の中で呟くも、行動の面ではアニスとディアーナに同調するかのように頷いてしまう。
「貴女は、どうするの?」
「私は、これで帰ろうかと……卒論も書かないといけないし。それに、時間を掛けて書かないと……」
「あっ! 卒論。あ~、嫌なこと思い出しちゃった。私、何も書いてない。ねえ、どうする」
イリアが危惧していた通り、二人は卒論を書いてはいなかった。こうなると手伝って欲しいと言われるのは間違いない。いや、この場合は写すというのが正しく、それが彼女達のやり方であった。
全ては他人任せで、自分で努力しようとはしない。これで本気で卒業を考えているのだから、世の中を甘く見ている。ふと、このようないい加減な面が強いのに何故アカデミーに入学できたのか疑問視するが、流石に面と向かって理由を聞き出すわけにはいかなかった。