エターナル・フロンティア~前編~
「私だって、書いていないわよ」
「ということで、宜しく」
「宜しくって……」
「勿論、卒論に決まっているわ。今回も写させてということ。いいでしょ? 毎回のことなんだし」
このことに関して、教授達から何も言われていないらしい。提出日までこのことを内緒にし、痛い目に遭ってもらおうと考えているのだろうか。そうしなければ二人の性格は直らず、それにこのような生徒を卒業させてしまったらアカデミー自体の面子に関わってしまう。
その前に、単位の問題がある。イリアは真面目に授業を受け、テストの成績もまずまず。順調に単位を獲得しているが、友人達はどうか。「面倒だから」という理由で度々授業をサボっては、何処かに遊びに行く。卒論を提出するしないの問題の前に、此方が引っ掛かる可能性が高い。
講義に参加していたとしても、見えない場所でメールのやり取りを行う。真面目に講義を聞いていることは、滅多になかった。無論、これは多くの生徒が知っていることだが、やはり何も言わない。
そして講義が終わったと同時に「後で、教えてほしい」という一言で済ましてしまう。今思えば、落第しないだけで奇跡に等しい。このような生活を送っていて将来科学者(カイトス)を目指しているのだから、何処か間違っている。いや、この選択は無謀としかいいようがなかった。
それも、能力を研究する科学者。この研究は多くの者にとって、一種のステータスのようなもの。高い知識を有し、憧れと夢だけで付ける職業ではない。ほんの一部の天才……それも生まれつきの秀才が付けることができ、この研究に携わっている者達は憧れの的といっていい。
正直、イリアもこの研究をしたいと思っていた。しかしアカデミーの成績を考えると夢のまた夢で、到底なれるものではない。イリアの成績は、平均より少し上。決して天才というわけではないが、秀才というカテゴリーには分類される。しかしこの成績は、能力を研究する者にはなれない。
友人達はどうか。残念ながら平均より下。これも授業をサボり他人任せの結果だろう。この成績で能力の研究を行いたいというのだから、世の中の難しさを理解していない。それに「なりたい」というのは言葉だけで、それに向かって勉強をしているとは聞いたことはない。
アカデミーを卒業すれば、なれるものだと勘違いをしている。確かにアカデミーを卒業すれば高い地位の職業に就けるが、科学者の場合は違う。イリアのように学生時代から研究生として学園生活を送っているのなら話しは別だが、何もしないでなりたいというのは無理があった。