エターナル・フロンティア~前編~

「ところで、マロンは」

「何処かにいると思うわ」

 相手がロボットということで、タツキは放任主義に近い状況で飼育している。これに関して「生き物ではない」という意味合いから特に問題にはならないが、マロンは可愛らしい犬だ。

 ペットというのなら相手がロボットであっても、愛情を持って世話をするのが飼い主の務め。それだというのに適当に飼育しているということは、マロンよりソラの方が可愛いとなる。

 現に愛情に偏りがあり、それを見事に証明するのがソラの件。母親以上の愛情深さを示し、彼のことを心配している。タツキ自身は「姉のように」と言っているが、傍から見れば立派な親子で、ソラが絡むと性格が一変してしまうのだから、タツキとの付き合い方が難しい。

 一応、知り合いには手加減してくれるが、相手が見ず知らずの人物や気に入らない相手だったら――その時は、相手に「ご愁傷様」と言葉を送ってしまうほど、想像に絶する行為が行われる。

「可哀想だな」

「大丈夫よ。マロンは、シッカリとしているわ」

「そういう問題か」

「深く考えすぎよ」

 このような発言を聞いていると、一般的な生き物を飼育させるわけにはいかない。もし何かの間違いで飼育した場合、いつもの放任主義でその生き物を衰弱死させてしまう可能性が高い。そのように考えると、ロボットのマロンを飼育していることは、ある意味で正しい。

「マロンに会いたければ、呼べば来ると思うわ」

「いや、いい」

「そう。なら、話をはじめましょう」

「で、何処へ」

「少しは、自分で考えなさい」

 そのように言われたところで、クリスが素直に従うわけがない。何処かへ行きたいと言い出したのはタツキで、その発言者がいい加減な意見を繰り返すのは褒められたものではない。だからタツキが決めた方がいいと言い放つと、クリスは自分は関係ないとばかりにコーヒーを口に含む。

「目的地を決めるのって、結構難しいのよ。それぞれの人物に、好みというものがあるでしょ。後で、何を言われるのかわかったものではないし……それに、トラブルになったら面倒でしょ。アタシって、結構繊細な心を持っているのよ。だから、何も言わないでほしいわ」
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