エターナル・フロンティア~前編~

「わかったわ」

「甘いな」

「別に、いいでしょ」

「悪いとは言っていない。そうなってしまうのは、仕方がない。お前は、苦しい思いをした」

 しんみりとした話に、タツキは頷く。壮絶な体験と経験をしたからこそ、能力者(ラタトクス)を偏見の目で見ることができない。おかしな人物と思われるが、彼女にとって関係ない。ただ、物事の本質を見抜くことができない人物が嫌いだった。特に、表面を見ていない人間は最悪といっていい。

 だからこそ、過度に心配してしまう。それが相手の負担になることはわかっていたが、止められるものではない。この場にソラがいたら、タツキは思いっきり抱き締めていただろう。タツキは楽しい食事会を開こうと満面の笑みを浮かべ伝えると、クリスの同等の意見だと返す。

 日頃の憂さを晴らすというのが本来の目的であったが、実は違う意味も含まれていた。ソラの悩み相談といっても、ソラが本音を話すことは滅多にない。それほど、強情といっていい。

 だからこそこのような機会を作り、本音を聞きだそうとしていた。美味しい食事と美しい風景を見れば、口が開く。何とも安易な考えであったが、こうでもしなければ聞き出せない。

 タツキは母親のような存在なので、守らなければ――という感情が空回りをし、時として自爆してしまう。しかし、クリスは生暖かく笑って見守ってきた。長年の付き合いだからこそ、この関係と距離感が保てる。知らない者がタツキの性格を見たら頭を抱えてしまうほど、タツキは過激だった。

「でも、懐かしいわ」

「そうか」

「不謹慎?」

「他の人間が言ったのなら、不謹慎だ」

「アタシはいいの?」

「まあ、そうだな。何と言うか、お前は裏の世界を見続けて多くを知っている。だから……」

「そうね。アタシは……」

「思い出さなくてもいい」

 同じ言葉も、語る人間によって意味合いが異なる。物事を言葉で表す場合、その人が歩んできた人生が大きく左右し、特に何も知らない者が適当に語った場合、其処に力など含まれない。その中ではタツキは違い、想像を絶する人生を歩み今に至る。よって能力者を守る気持ちは、人一倍大きい。
< 234 / 580 >

この作品をシェア

pagetop