エターナル・フロンティア~前編~

「さて、暗い話は終わりだ」

「ええ」

「よし! 飯、作る」

「貴方が?」

「いけないか」

 予想外の提案に、タツキは目を丸くしてしまう。クリスはその反応が気に入らなかったのか、足を組みブスっとした表情を浮かべつつ、自分が料理を作ってはいけないかと尋ねた。

「そんなことはないわ」

「なら、いいだろ?」

「構わないわ」

「よし、それなら作る」

「期待しているわ」

 料理を作ってくれるということに機嫌を良くしたのか、タツキの口許は緩んでいく。クリスにしてみれば、内心タツキに料理を作って欲しくなかった。料理に関してタツキは口出しをしてはいけないレベルで、手出しも不要。掃除や洗濯は人並みにできるが、料理の腕前はかなり低い

 特に味付けが濃く、あの料理を食べ続けていたら確実に病気になってしまう。今のところ何ら健康被害を耳にしていないが、数年後先、健康維持ができるとは限らない。下手をすれば、入院になってしまう。いや、その前に味覚障害になっている可能性も考えられ、どちらにせよ身体には悪い。

 それはタツキの身体のことなのでクリスには関係ないことだが、腐れ縁のような関係。やはり、相手の健康状態は気になってしまう。それにタツキが早死にしたら、それはそれで悲しい。

「好き嫌いは?」

「特にないわ」

「それなら、適当に作る」

「それなら、アタシは――」

「いや、断る」

 ソファーから腰を上げると料理の手伝いを行おうとするタツキに、クリスはそれを丁重に断った。下手に手伝われたら食べられる料理ではなくなり、また一人で料理をする方が楽でいい。

 何ら躊躇いもなく断られたことに、タツキは腹を立ててしまう。どうやら今回はやる気だったらしく、どうしても手伝いたいと言い出す。しかし、クリスにしてみたらいい迷惑。それ以前に、タツキに残っている仕事をした方がいいと促し、話を其方の方向へ持って行く。
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