エターナル・フロンティア~前編~

「何を作ってくれるの?」

「肉料理」

「男の人って、肉料理が好きね」

「それ、偏見だな」

 タツキの言葉に、間髪いれずに反論していた。男だからといって、肉料理が好きだとは限らない。現にソラは肉料理を好まず、どちらかといえば魚や野菜関係を好んだ。それは体質も大きく関係しているが、クリスにしてみればタツキは肉食系といっていいと考えている。

 タツキは、外見上痩せているように見える。しかしタツキは大食いに近く、食べる量といえばソラの二倍に当たるといっていい。クリスは冷静な分析でそのことを伝えていくと、タツキは横を向いてしまう。どうやら痛いところを突かれたのか、微かに額に汗が滲み出ていた。

「なら、何がいいんだ?」

「肉料理でいいわ」

「やっぱり、それか」

「何か、文句あるの」

「いや、別に」

 これ以上何を言っても無駄と判断したのかクリスは嘆息すると、キッチンへ向かうことにした。冷蔵庫を開き食材を探していくが、料理に使えそうな食材が見付からない。その大半が調味料類で、他にあったのはアルコールであった。これが女性の冷蔵庫なのかと、思わずタツキを凝視してしまう。

「何よ」

「材料がない」

「そう。この前、買っておいたと思ったけど……無くなってしまったのね。大量に買っておいたのに」

「タツキのこの前は、当てにならない」

「あら、酷いわ」

「そう思うのなら、これを見ろ!」

「ほ、本当ね」

 どうやら滅多に自炊をしないらしく、大半を外食で済ませてしまっているのだろう、所々が汚い。クリスはタツキに気付かれないように、そっと冷蔵庫の隅を人差し指で拭ってみる。

 その瞬間、ザラっとした質感が指先から伝わってくる。これは、粉末系の調味料だろうか。冷蔵庫の掃除も相当いい加減なのだろう、このような場所に飲食物を入れておくのは不潔そのものといっていい。これを掃除した方がいいか迷うが、だからといってそこまでやってあげる義理もない。
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