エターナル・フロンティア~前編~

 最低限の知識も持たない者が、研究を行うなど身の程知らず。アニスとディアーナの夢物語を聞かされたら、全員がそのような言葉を返すだろう。それに運良く理想の職業に就けたとしても知識の無さが露呈し、他の者に付いていけなくなりすぐに辞めることになってしまう。

 科学者は、膨大な知識を有する者がなることのできる職業。その中に加わりたいというのなら、今から勉強することが大切と言われている。勿論、イリアもその考えを正しいと思っているが、アニスとディアーナにきちんと説明したところで受け入れてくれるかどうか怪しい。

「ねえ、科学者になるの?」

「そうよ。そして、バリバリ研究するの。それって、私達の夢だから。夢は、大きくないとね」

「能力研究だっけ?」

「当たり前じゃない。憧れの研究よ。その研究について、有名になるんだから。有名になって、お金持ちになるわ。できれば、インタビューを受けるような科学者を目指したいわね」

「そして、素敵な人と結婚するの」

「それ、いいわね」

「玉の輿」

「女の夢ね」

 何とも馬鹿馬鹿しい人生設計だと、イリアは肩を竦めてしまう。この研究につく為に、どれだけの人間が頑張っているというのか。クラスメイトの中にも将来能力の研究をしたいといって、毎日のように徹夜で勉強をしている生徒がいる。その人がこのことを知ったら何と言うか。

 ふざけるな。

 そのような言葉が返ってくるだろう。

「何、その表情?」

「な、何でもないから」

「ふーん、イリアはどうするの?」

「私は、あのまま研究を続けようと思っているけど。結構、あの研究は好きだったりするから」

「上を目指さないんだ」

「分野が違うから」

 イリアがアカデミーで行っている研究は、新しく発見された生き物の研究。生態調査が主な研究課題で、それなりに実績を収めている。そして連邦の研究所にも学生の身分で出入りできるという、なかなか優秀な生徒だ。それ故、友人達から発せられる言葉には刺が感じられた。
< 25 / 580 >

この作品をシェア

pagetop