エターナル・フロンティア~前編~
「イリアなら、なれると思うわ」
「そうそう、頭いいし」
嫌味たっぷりの言葉の中には、イリアに対して嫉妬心が含まれている。口では「能力を研究したい」と言っていても多少なりとは現実を理解している一面が見受けられるが、相変わらず「卒業すれば」という考えは同じらしく、やはり世の中の仕組みをわかっていない。
「そうよ! 私が出世をすればいいのよ。そして、偉くなるのよ。そしてイリアを、スカウトしてあげればいいのよ。出世をすれば、スカウトも可能になるはずよ。私って、頭いいわね」
「あっ! それいいわね」
「そうしましょうよ。ねえ、いい考えでしょ? 私達って、本当に頭がいいわ。凄いでしょ」
彼女達の気楽な思考に、流石にイリアもうんざりしてしまう。あの世界で上を目指すということは、笑いながら会話できるほど簡単ではない。この二人が出世できるというのなら、世の中全ての科学者が高い地位についている。それだけ二人の考えは甘く、同時に勉強もしていない。
「あ、有難う」
「感謝しなさい。で、そのお礼として追試を代わりに受けておいて。前払いと思えば、苦にならないでしょ」
「追試って何?」
「今月の頭の講義をサボったことが、知られてしまったのよ。もう、病気で欠席としておいたというのに。誰よ、教授達に言ったのは。お陰で追試という、面倒なことをやらないといけないの」
「見付けたら、殴ってやりたいわ」
「どうせ、点数稼ぎのいい子ちゃんでしょう」
「そういうのって嫌い」
「私も」
「という訳だから、宜しく」
今回の追試は、まさに自業自得である。嘆いたところで悪いのはこの二人であり、教授にこの件を話した犯人をイリアは知っていた。それは、彼女達のクラスメイト。遊ぶことに集中し、勉強に身を入れない二人を鬱陶しく思い“お仕置き”というかたちで教えたのだ。
アカデミーは知識を得る場所であって、遊び恋人を見付ける場所ではない。それを目的としているのなら「二人で、合コンでも開けばいい」と思っている生徒が多いことは確か。そして意外にもイリアに対しての味方は多く、理由として真面目に学業をこなしているからだ。