エターナル・フロンティア~前編~

「追試って何?」

「科学よ。化学(バケガク)の方じゃないから安心して。イリアの得意分野でしょ? だから、任せるのよ」

「でも、違う人が受けてバレないの?」

「大丈夫よ。追試の問題は、後で送られてくるみたい。それをイリアに送信するから、終わったら返信してね」

「そう、それならわからないわ」

 ネット上で問題のやり取りを行なえば、違う人物が問題を解いたということは気付かれにくいとアニスとディアーナは考える。しかし教授達が、それに気付かないわけがない。何か裏があると考えるのが利口であったが、どのような方法が隠されているのかはわからなかった。

「わかってしまったら、怒られてしまうわよ。それ以前に、追試は自分達でやらないと……」

「大丈夫よ。イリアが喋らなければ、わかることはないわ。だから、絶対に喋っては駄目よ」

 他力本願もここまでくると、立派としかいいようやない。イリアはこれ以上会話を続けると他にも無理難題を押し付けられると恐れ、先に帰ることを告げる。その瞬間、アニスとディアーナ残念そうとも悔しそうとも取れる表情を浮かべ、イリアの考えが正しいと証明された。

 大事な卒論を見せ尚且つ追試も代わりに行って欲しいといって中で、他に何を注文してくるというのか。イリアがいくら温厚な性格の持ち主であっても、そろそろ限界が近かった。

 それに、先程の恩着せがましい言葉の数々。今の状況では絶対に能力研究を行う科学者になれないというのに、妄想は巨大に膨れ上がり現実と夢が一緒になってしまっている。また、すでに科学者になったかのように振る舞い、イリアに対しての傲慢な態度は増徴していく。

「私、帰るね」

「……ちゃんとやるのよ」

 別れの挨拶は、まさに自己中心的なもの。その言葉にイリアは身体を震わすと、急いで立ち去ってしまう。そして残った二人はイリアの後姿を暫し眺めていると、本音を言い合う。

「他人に追試なんてやらせて、怒られるわよ」

「その点は、安心していいわ。私達がやろうと思っていたのに、イリアが勝手にやってくれました。教授達には、そう言うから。私だって、怒られたくないもの。だからといって、追試を受けないわけにはいかないし。利用できるものを利用しておかないと、卒業できないでしょう?」
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