エターナル・フロンティア~前編~
「サイズって?」
「ケーキの大きさだよ」
「えーっと、これくらいのサイズ」
「アバウト」
本当は「何センチ」という部分を聞きたいと思っていた。しかし相手は、料理が大の苦手のイリア。詳しく質問した所で、混乱するのは目に見えている。ソラはキッチンへ行くと、菓子作りに必要な道具を棚の中から取り出していく。一方のイリアは、立ち尽くすしかない。
「どうすればいいの?」
「ちょっと、待っていて」
「で、でも……」
「じゃあ、観葉植物の草取り」
「えっ!?」
「最近、草取りをしていないから」
菓子作りから離れている仕事に、イリアは聞き返してしまう。だがソラにしてみれば、そうしていてほしかった。それは、菓子作りに必要な器具がなかなか見付からないのだ。ソラにしてみれば菓子作りは久し振りなので、何処かに奥の方へ仕舞いこんでしまったらしい。
「わ、わかったわ」
「ご、御免」
イリアは、窓際に並んでいる観葉植物に視線を移す。ふと、以前より個数が増えていることに気付く。それに観葉植物に混じって、とても美しい花を咲かす植物が複数混じっていた。
「ねえ、これは?」
「ああ、懐かしいから購入したんだ」
「名前は?」
「スノーホワイト」
「聞いたことがあるわ」
「有名な花だよ」
「そうなんだ」
「栽培に手間は掛からないから、購入してみたら? 花が咲くと、結構いい香りがするから」
その言葉にイリアは植物の側へ行くと、ツンツンっと指先で突っ突いていく。漂う甘い香りに、顔が徐々に穏やかに変化していく。やはり、イリアは女の子。研究に熱を入れていても、このような物が好きなようだ。そんなイリアの後姿を見詰めていたソラは、ふとひとつの言葉を思い出す。