エターナル・フロンティア~前編~
ひとつの事柄に集中してしまうと、周囲が見えなくなってしまう。こう改めて見ると情けなさがこみ上げ、幼馴染に会うことが恥ずかしくなってしまう。女らしい服装を心がけようと思っていてもなかなか実行できないのが現状で、これからますます忙しくなってしまう。
アカデミーを卒業する為に、色々とやらなければいけないことがある。それにお洒落に掛ける時間さえ勿体無く、油断していると卒業さえ危うくなってしまう。それなら卒業をした後は、どうするのか。イリアは研究を続ける為に、それ専用の場所に就職しようと考えていた。
しかし生易しい学生とは違い、結果を残さないといけない厳しい世界。そうなると、ますますお洒落する時間が持てない。結局のところ、今のままで過ごさないといけない。それに「お洒落をする暇があったら」と、科学者になったら周囲からそのように言われるだろう。
「今年の新作か……」
ショーウィンドーに並べられている服は流行を先取りしとても素晴らしい物であったが、残念ながら手持ちの金額では購入は難しい。旅行の為に用意したお金の大半を例の二人に持ってかれたというより奪われ、帰るお金もない所謂文無し。この虚しい状況に、溜息しか出ない。
それに友人達に貸しているのは、お金だけではない。研究データを収めた大事なディスクも貸してあるのだが、いまだにそれを返して貰っていない。いや正しくは紛失、つまりなくされた。バックアップを取ってあったので問題はなかったが、もし取っていなければ今までの研究が全て無になってしまう。
しかし日頃研究を行っていない二人、どうしてイリアの研究データを欲したのか。その理由は、後に意外なかたちで判明する。何と二人が、同じアカデミーの生徒に渡していたのだ。
それもイリアと同じ研究をしている生徒に渡していたのだから、それを聞いた時イリアは愕然となり言葉を失った。データが入ったディスクを渡してくれるというのなら、彼氏になってもいい。そんな馬鹿馬鹿しい理由で、友人という偽りの仮面を被った二人はイリアに近付いた。
そしてディスクを彼のもとに持って行き自分達の欲望を満たそうとしたが、彼氏になるという話は全くの嘘。つまり二人も利用されていたということで、真実を知った時は激しく逆上したが、事が事だけに大事にはできない。結局、うやむやのかたちで今に至っている。
ディスクを受け取った生徒は、どうなってしまったのか。此方は、望んだ結果を得られなかった。このデータは、所詮イリアが研究したもの。これを基に論文を書こうとしても、どのようにして行き着いたのか過程がわからない。結果、論文は一文も書けなかったという。