エターナル・フロンティア~前編~

 それに――

 ふと、そのような考え事をしていると、イリアの声が響いた。

「ねえねえ」

「一回でいいよ」

「だって……」

「近い距離で、声が聞こえないわけがないだろう。それに、老人性の難聴は年齢的に早過ぎ」

「……うん」

「で、何?」

「抜いた草は、どうすればいいの?」

「一箇所にまとめておいて」

「それなら……」

「土の中は禁止!」

 間髪をいれずに、ソラは突っ込みを入れた。確かに、土の中に草を埋めておけば腐って栄養になるだろう。しかし腐葉土という専門の肥料を使用しているので、今回はその必要はなかった。ソラはイリアのもとへゴミ場を持って行くと、この中に草を捨てるように促した。

 イリアは、抜いた草をゴミ箱の中に捨てていく。それを見ていたソラは「土を落とせ」と、言う。そう、草の根っこの部分には大量の土が付着していた。気が利く人物の場合、勿論土を落としてから捨てる。園芸経験のないイリアは、土と共に草を捨てようとしていた。

「ご、御免なさい」

「いいよ。ほら、叩く」

「う、うん」

 ソラに促されるように、パタパタと土を叩いていく。そして、全ての草をゴミ箱の中へ捨てていった。

「これで、どうかしら」

「有難う」

「手、洗ってくるわ」

「台所は禁止」

「了解しました」

 そう言い残すと、イリアはそそくさと奥へと向かう。一方、ソラは盛大な溜息をついていた。現在ソラは、ゴミ箱の中へ視線を向けていた。イリアが誤って捨ててしまおうとした土は、独自の配分で作り上げた観葉植物専用の土。勿論、それらの土は専門店で購入した物。それをゴミ箱に捨てようとしていたイリアは、ある意味で逞しく世間知らずといっていい。
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