エターナル・フロンティア~前編~
流石にそれは無いと思いたいが、彼女が行っている研究が研究。あながち、可能性は高い。
(本当に、これだったら……)
内心、ソラはそのように思う。別に、科学者としての道を選んだことを責めているのではない。
ただ――
少し、差を感じていた。
「どうしたの?」
「いや、何でもない」
下手にイリアに気付かれると、数多くの質問が待っている。それにより適当にはぐらかすと、次の工程を教えていく。真剣に聞き入り、菓子作りと格闘しているイリア。それを静かに見詰めているソラは、色々と気に掛かってしまうのか再び疑問が脳裏を過ぎっていく。
正直ソラは、外見は普通でいいと考えていた。要は、内面が重要。下手に着飾っている姿は、逆にその者の愚かな一面を炙り出し滑稽だ。しかし、それを口に出して言うことはしない。
イリアはイリアで、おかしな部分でプライドが高い。一方、科学者として持ち合わせているプライドは――残念なことに、不明な点が多々見られた。一体、何の為に研究をしているのか。ソラは、以前よりその点を疑問視していた。無論、研究内容は知っている。しかし――
徐々に、イリアの観察が大変になっていく。所詮、ソラはイリアという人間として生きているのではない。だから、いくら思考を働かせても相手の感情を全て把握するのは不可能だ。
無論、相手も同じ。
だが、時に混じり合う。
それが、運命だった。
(……疲れた)
ソラはフッと息を吐くと、イリアに気付かれないように背を向ける。一方のイリアは、黙々と菓子作りに没頭している。シフォンケーキは、弾力性の高いスポンジが特徴の菓子。生地の中に大量の空気を閉じ込めるように、ゆっくりとヘラを動かしていく。危ない手付きであったが、イリア一生懸命に菓子を作り続けている。そして、菓子作りに楽しさを見出す。
幼馴染が料理が得意ということで、イリアは美味しい菓子作りを学びに来た。最初はきちんと作れるか心配していたが、今では面白くて仕方がない。多くの材料でひとつの物を生み出すことに嵌ったのか、満面の笑みを浮かべながら楽しそうに材用を混ぜ合わせている。