エターナル・フロンティア~前編~

 それを見たソラは、内心ホッとしていた。イリアは研究に集中し、他の部分を疎かにしていると考えていたからだ。しかしこれを見ていると、普通の女の子に間違いない。やはりイリアは女の子なので、料理が上手い方がいい。また、懸命に作っているのは可愛かった。

(本当に……)

 それ以上の言葉は続かない。ただ静かにイリアの手元を見詰め、工程が間違っていないか確かめていく。

 一通り、生地が混ざった。

 後は専用の型に入れて、焼くだけ。

 勿論、イリアは最適な温度はわかっていない。それによりオーブンの準備は、ソラが行う。

 そして、焼き上がりを待った。




 数十分後――

 イリアが生まれてはじめて作ったシフォンケーキが、オーブンの中から取り出された。その瞬間、悪臭が漂う。

「く、臭い」

「ど、どうしたの?」

「……焦げている」

「えっ!?」

 ソラの指摘に、イリアは慌ててシフォンケーキを見詰める。すると指摘の通り、真っ黒に焦げていた。一体、何が悪かったのか。材料の分量は、合っている。それに、工程も間違っていない。それにオーブンの温度を調節したのは、イリアではなくソラ。焦げる理由が、見当たらない。

「……ソラ」

「イリアは、悪くないよ」

「う、うん」

「多分、調子が悪かったんだ」

 そのように言っても、何が悪いのかソラは全くわからなかった。それに今は、イリアを慰めるのが先決。今回の失敗でイリアが菓子作りを嫌いになっては一大事と、ソラが焦り出す。

 ソラの懸命な説得により、イリアは落ち着いていく。また、最初から成功するというのは難しい。何せ、シフォンケーキの難易度は高い。それを無謀にも挑もうとしていたのだから、その点は絶賛に値する。ソラは包丁を取り出すと、失敗したシフォンケーキを切った。
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