エターナル・フロンティア~前編~

 中は、綺麗に焼けていたことに気付く。どうやら、表面だけが真っ黒くなってしまったようだ。

「うん。美味い」

「本当?」

「結構、上出来」

 焦げていない箇所を摘まみそれを口に運ぶと、ソラは正直な感想を語っていく。言葉の通り、はじめて作ったにしては上出来。なんだかんだと理由をつけて今まで自分で作ることを敬遠してきたイリアであったが、意外に料理の才能を持っていることがこれで判明した。

 努力を続けていけば、美味しい菓子を作れるようになる。無論、それまでにはかなりの時間を有する。だが、イリアに教えることに面白さを見出したソラは、二回目のシフォンケーキ作りを提案する。今度はもっとビシバシと鍛えていくつもりだったが、イリアの顔色が優れない。

「大丈夫……かしら」

「心配?」

「……うん」

「今度は、もっと丁寧に教える」

「そ、それなら……」

 時間の経過と共に、顔色がどんどん悪くなっていく。その瞬間、トラウマになると判断したソラは、ひとつの提案をする。それは、自分が作った物を持っていけばいいというものだった。

「いいの?」

「特別」

「バレないかしら」

「その時はその時」

「……有難う」

 そう小声で呟くイリアの表情は、何処か嬉しそうだった。その笑顔にソラも微笑を浮かべると、使用していたボール等を綺麗に洗っていく。そして分量を正確に測っていくと、料理を開始した。勿論、イリアも手伝う。その後暫くの間、二人は菓子作りに没頭していった。




 オーブンの中から取り出された、シフォンケーキ。焦げ目がついていない白いスポンジは、見た目はプロが作ったケーキに等しい。また、微かに漂う甘い香りが食欲をそそる。綺麗に作られたシフォンケーキに、イリアは嬉しそうにはしゃぐ。まさに、一流の品であった。
< 314 / 580 >

この作品をシェア

pagetop