エターナル・フロンティア~前編~
「美味しそう」
「これでいいか?」
「うん。有難う」
「包装等は、自分で」
「包装?」
「イ、イリア」
「どうしたの?」
「誰かのもとへ持っていく場合、包装は不可欠だよ」
「あっ! そ、そうよね」
キョトンっとしているイリアに、ソラは冷ややかな視線を向けるしかできない。彼にしていれば、きちんと包装用の箱を用意していると思っていた。しかしイリアはシフォンケーキの材料だけ購入し、肝心な部分を完全に忘れていた。それにソラは、包装関係は苦手である。
「仕方ない。探そう」
「う、うん」
「多分、適当な物があると思う。と言っても、箱はないから……どれがいいかな? 密封できる方がいいだろう」
「できれば……」
「うーん、これじゃあ駄目か」
物事の計画性の悪さに、ソラは何も言えなかった。確かに、研究面では素晴らしいと思う。
だが、重要な部分はからっきし。それはイリアの今までの生活スタイルを考えれば仕方がないことだが、内心ではもう少しシッカリして欲しいと願ってしまう。ソラは溜息と同時に棚の側へ行くと、その中に頭を突っ込みながらシフォンケーキを入れるに相応しい物を探していく。
「これでいいか?」
「それって――」
「他はない」
ソラが差し出したのは、半透明の大きなジップロッグ。勿論、シフォンケーキを入れて持っていくには相応しい入れ物ではないが、これ以上の物は見付からない。それにそれ以外の入れ物ではシフォンケーキを入れることができないので、便利なジップロッグが選ばれた。
イリアはそれを受け取ると、シフォンケーキをジップロッグの中に詰め込む。勿論、シフォンケーキは柔らかいスポンジが特徴のケーキ。入れ方が悪かったのだろう、スポンジの三分の一が潰れてしまう。決して手荒に扱ったわけではないが、いかんせんシフォンケーキは潰れやすい。