エターナル・フロンティア~前編~
「……美味しいわ」
「そう?」
イリアの言葉に、シフォンケーキに次々と手が伸ばされる。そして口に入った瞬間、全員が目を丸くした。
「美味い」
「う、嘘」
「信じられない」
口々に発せられる言葉には、シフォンケーキを絶賛する内容が含まれている。その言葉の数々にイリアは、内心複雑な心境にあった。クラスメイトが絶賛するのなら、ユアンが食べても高い評価をしてくれる。しかしこれはイリアが作ったのではないので、罪悪感が心を覆う。
「イリアは、料理が上手かったのね」
「う、うん」
「そうよね。イリアは、研究の方に力を入れていると思ったのよ。だって、料理を作ったって聞かないもの」
「……有難う」
「それなら、私も練習をしておけばよかったわ」
その言葉に続き、全員が一斉に笑い出す。勘違いして伝わっている、イリアの評価。それはソラが作ったシフォンケーキによって、いい方向へ向かっていく。よって、イリアの立場が上がった。
「何をしている」
「博士、このケーキ美味しいです」
「そうなのか?」
キッチンに集まり、何かをしている者達。その怪しい集まりに姿を現したユアンは不可思議な表情を浮かべつつ、キッチンの奥へと向かう。そして、白い皿の上に乗っているシフォンケーキを見詰める。
「ああ、シフォンケーキか。ランフォード君が、作ったものだね。うん。見た目は、素晴らしい」
「わかるのですか?」
「以前に、約束した」
一体、両者の関係は何か――
ユアンの言葉に、女達は嫉妬していく。
しかし彼女達の心情を理解していないイリアは、ユアンと楽しく喋っていく。そして、シフォンケーキを進めた。味は、クラスメイトのお墨付きがある。それにより、妙に積極的であった。ユアンはシフォンケーキの切れ端を手に取ると、口に運ぶ。そして、正直な感想を言う。