エターナル・フロンティア~前編~
彼女達にしてみれば、それが気に入らなかった。普段仲のいいクラスメイトとして振舞っているが、恋に関しては別問題だからだ。本人達は気付いていないが、目が血走っていた。
「じゃあ、イリアを宜しく」
「美味しいコーヒーを用意するわ」
「俺、紅茶がいいな」
「我儘よ」
「こ、怖いな」
「気の所為よ」
しかし、二人の身体から黒いオーラが漂っている。ユアンを含め、全員が高い霊感を持っているのではないが、確かに黒いオーラを目視できた。それは徐々に形を変化させていき、悪魔と呼べる形を作っていく。女は恋に落ちると変貌するらしいが、二人は見事にそれに当て嵌まる。
「コーヒーお願いします」
「最初から、そう言って欲しいわ」
「わ、わかりました」
「では、待っていてね」
そう言い残すと、二人はキッチンへ急いで向かう。その光景を静かに見詰めていたユアンは、二人に気付かれないように言葉を発する。男達を労う言葉。同時に、苦笑いを浮かべた。
彼女達は無意識のうちに、本心を出してしまっていた。それにより、ユアンに呆れられた。だが、ユアンは正直な感想を言う。要は、自身が抱いている理想とかけ離れていたからだ。
「は、博士」
「大丈夫か?」
「な、慣れています」
「苦労しているね」
「ま、まあ……」
一体、どのように説明すればいいのか。彼女達の日頃の習性と生活スタイルを話していけば、言葉が愚痴に発展する可能性が高い。それに、彼女達と交流を持つイリアが隣に座っているので、愚痴を言いたくとも言えない状況に陥る。それが関係し、気まずい状況にあった。
オドオドとしている男達。ユアンは不可解で不信感たっぷりの行動に、本能的にその意味を悟る。ユアンは何度か頷くと、ポンポンっと肩を叩いた。そして、小声で「後で」と言う。唐突的な言葉に目を丸くするが、此方もユアンが言いたいことを理解したのか、頷き返す。