エターナル・フロンティア~前編~
正直、鬱陶しい。
だからこそ圧力を掛け、コーヒーに変更させた。
何より、コーヒーを淹れるのは楽でいい。ユアンの部屋に置かれているのは、インスタント。粉末をカップに適当にいれ、熱いお湯を注ぎいれればいい。そして、ミルクと砂糖を出す。
「どうぞ」
ドスっと音と共に、テーブルの上にカップを置く。殺意がこもった置き方に、男はビクっと身体を震わす。しかしユアンの顔を見るのが恐ろしいのか、下を向いたままだった。一方のユアンは特に反応を示さず男のもとから去ると、自身の分のコーヒーを淹れはじめた。
「で、御用は――」
自分が淹れたコーヒーを一口口に含んだ後、どのような用件で訪れたのか尋ねる。ユアンは早く話を終え、男に帰ってほしかったのだ。しかし完全に圧力に負けてしまっているのか、言葉が出ない。
情けない姿に、心の中で笑う。
これで、立場が上。
正直、馬鹿馬鹿しいと思う。
ユアンは数多くの実績を積み、結果を出している。
相手は、名前で現在の地位に就く。
それが、気に入らない。
だが、冷静に装い再び「用件は?」と言う。
「……仕事だ」
「仕事?」
「例の件だ」
男の言葉に相当な裏が存在するのか、ユアンの身体がピクっと反応を示す。勿論「例の件」の意味を知っている。
眉が動く。
そして、苦笑した。
「あれは、僕の範囲外です」
「だが、話では……」
「皆様がどのように言っているか知りませんが、範囲外は確かです。それに、分野が違います」
言葉で「範囲外」と言っているが、全く繋がっていないというわけではない。何せ男が言っていることは、能力研究の一部分に関わっていたからだ。だからこそ、男はユアンに食い付く。ユアンは「違う」と言い続ける。要は関わると面倒な問題であったから、適当にあしらう。