エターナル・フロンティア~前編~
彼は自身が置かれている立場と、行っている行為は理解している。そして、隠そうとはしない。
しかし、男は――
いや、男だけではない。
この者を含め、周囲にいる者達は決して認めようとはしない。その証拠に、実験や研究の失敗を全て、行っていた者に押し付ける。逆に成功した場合、結果を奪い取り自分の物にしていく。
それが、常套手段。
今回の件も、それを行おうとしているのか。言葉が厳しくなる。
「貴方達が望んでいる」
「何?」
「一度血の臭いを嗅いだ者は、思考や神経を麻痺させてしまう。間接的ですが、貴方達も……」
態と最後の言葉は口にしない。
ただ、心の中で「同罪だ」と、呟く。
別に、言葉に出してもいい。
だが本質の部分を理解せず、自身の保身に力を入れている者達に何を言っても無駄である。
ユアンは過去に、このような人物を何人も見てきた。それにより、言葉に発するのは無意味な行動と判断する。
一気にコーヒーを飲み干す。
そして、再び口を開く。
「で、結果は……」
「悪い」
「やはり、そうですか。噂で、聞いています。いいデータがなかなか取れず、困っていると。ああ、それで……」
その瞬間、男が訪ねて来た理由を知る。
思った結果を得られない研究を打開する為に、天才と呼ばれているユアンに頼ってきたのだ。
真相を知ると、実に馬鹿馬鹿しい。
瞬間、ユアンの心にどす黒い物が広がる。
「……いいですよ」
「本当か」
「その研究、興味はあります」
ある意味、これは本音であった。
同時に、彼等に恩を売っておくのもいい。