エターナル・フロンティア~前編~

 薬が効いているので、ソラはぐったりとしている。自身が作製した薬の効果が確かだったことを喜ぶと同時に、相手にソラの存在が気付かれなかったことを胸を撫で下ろす。それだけ、ソラは危険な存在。

 捕まったら、いい研究材料と化す。

 だから、守った。

 いや、守ったという言葉は正しい意味を有していない。ユアン自身、ソラを実験対象として見ている。勿論、作製した薬を服用させてもいる。本来、実験の対象するしないを問題の定義として考えるのは正しくはないが、ユアンはソラを普通の実験対象として見ていない。

 特別――

 その言葉が正しい。

 ユアンは、唇を動かし音にならない言葉を発する。

 瞬間、クスクスと笑う。

「精々、利用しよう」

 相手が利用するというのなら、此方も利用すればいい。彼自身、もっと出世したいと思っている。

 その為、悪い面を踏む。

 彼は、迷いを持っていない。

 だからこそ、闇の世界を渡り歩いていた。


◇◆◇◆◇◆


 ソラの状況を知らないイリアは、友人達と楽しい会話を続けていた。卒業式を終えた今様々な思いが入り混じる。

 徐々に、話が盛り上がっていく。

 途中イリアは、何度も笑う。

 それだけ、楽しかった。

「イリアには感謝ね」

「何を?」

「ラドック博士の件よ」

「あれは、お礼……」

「そのお礼で、いい思い出ができたのよ。まさか、憧れのラドック博士に会えたとは……ああ、思い出すと……」

 当時の出来事を思い出したのか、イリアの友人達はニコニコと笑う。そして、妄想の世界に旅立つ。相当いい思い出なのか、時折クスクスと不可思議な声音を出す。その姿に、イリアは引いてしまう。
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